【高知市】高校生が折り紙アクセサリーで起業!土佐和紙の魅力を全国・世界へ

古くから日本に伝わる伝統文化・折り紙。皆さんも子どもの頃に一度は遊んだことがあるのではないでしょうか?鶴や風船、箱、手裏剣…。同じ大きさの1枚の紙から、折り方次第で、いろいろなものを作りあげることができる──。折り紙には深い魅力が詰まっていますよね。

伝承折りでおられた鶴、手裏剣、箱、風船

そんな折り紙に魅せられた女子高校生が高知市にいます。幼い頃から自身もよく折り紙で遊んでいて、今でも折り紙が大好きだという、高知市内の高校に通う3年生の中谷真穏(なかたに まお/以下、まおさん)さん。まおさんは、高校の探究活動という授業で折り紙について研究をし、もっとたくさんの人に折り紙の魅力を伝えるために、折り紙アクセサリーの製作・販売を始めました。

折り紙アクセサリーブランド「ORIÉ(オリエ)」のピアス

その活動の中で、まおさんは高知が誇る伝統工芸・土佐和紙と運命的な出会いを果たします。そして現在、折り紙と土佐和紙を融合させたアクセサリー作りに取り組みながら、起業も視野に入れた活動を始めました。本記事では、そんなまおさんの取り組みをご紹介します。

折り紙の魅力に惹かれて──探究活動が“原点”

カラフルな折り紙

高校の探究活動で折り紙を研究テーマに選んだまおさんですが、折り紙との出会いは幼少期にさかのぼります。まおさんにとって折り紙はとても身近な存在でした。それは大きくなってからも変わらず、折り紙はまおさんの心を惹き続けています。しかし、子どもの頃に折り紙で遊んだことがあっても、多くの人は大人になるにつれて折り紙に触れる機会が減っていきます。

折り紙で作られたやっこさんがイスに座ってくつろいでいる写真

そこでまおさんは、高校1年生の探究活動という、自身でテーマを決めて探究を行う授業の題材として折り紙を選びました。折り紙が人々の身近にあるにはどうすればいいかを考え、そうして行き着いたのが、折り紙を使ったアクセサリーの製作だったのです。

折り紙アクセサリーブランド「ORIÉ(オリエ)」のキーホルダー

提供:折り紙アクセサリーブランド「ORIÉ(オリエ)」

折り紙アクセサリー作り自体は、高校に入学する前から趣味の範囲で行っていたそう。それに磨きをかけ、人々の手に取ってもらえるようなものを作れるように、「折り紙ってこんなに素敵だったんだ!」と思ってもらえるようにと、願いを込めながら本格的な製作活動をスタートさせました。

土佐和紙との出会いが生んだ、新しい折り紙アクセサリー

まおさんは、「伝承折り」と呼ばれる、日本で昔から伝えられている折り方を用いて、鶴や風船、桔梗などを折り、それを加工してイヤリングやピアス、ヘアピンなどのアクセサリーを作り始めました。

折り紙アクセサリーブランド「ORIÉ(オリエ)」の試作品

提供:折り紙アクセサリーブランド「ORIÉ(オリエ)」

ただ、最初の頃は折り紙の”紙”自体にこだわりはなかったそう。それこそ100円ショップで購入できる普通の折り紙や千代紙などを使って、折り紙アクセサリーを製作していました。しかし、ある時、高知の誇る伝統工芸・土佐和紙と運命の出会いを果たすのです。

高知りょうま空港で折り紙アクセサリーを販売する様子

提供:折り紙アクセサリーブランド「ORIÉ(オリエ)」

まおさんが高校1年生の時、高知龍馬空港の一部のスペースで、自作した折り紙アクセサリーの販売を行いました。その時、偶然いらっしゃった土佐和紙の製造会社の方が、アンケートボックスに「ぜひ土佐和紙を使ってください!」と一筆入れてくださったのだとか。

この偶然が、まおさんを土佐和紙の世界へと導いていくことになったのです。

高知が誇る土佐和紙、その魅力と後継者不足のいま

アンケートをきっかけに、まおさんは土佐和紙について調べ始めました。

土佐和紙とは、福井県の「越前和紙」、岐阜県の「美濃和紙」と並び、三大和紙に数えられる、高知の誇る伝統工芸品の1つ。平安時代には既に存在していた記録が残っており、1,000年以上の歴史を持っています。丈夫でしなやかさもあり、柔らかな風合いや豊かな色彩も魅力。文化財の修復や修正にも使われる逸品です。

※画像はイメージです

しかし、土佐和紙の原材料を栽培する農家が高齢化し、生産者が減少傾向に。その品質の低下も懸念されています。こうした状況から、近年ではやむを得ず、外国産の原材料に頼ることも増えており、「土佐和紙」ではあるものの、実際には海外の原材料を使っているケースも少なくないそうです。

もちろん、国産の原材料を使って作られた、全てが日本国産のもので作られた土佐和紙もあります。ただし、外国産を使ったもののほうが安価な場合が多く、どうしても需要がそちらに流れてしまう現状もあるのです。

提供:折り紙アクセサリーブランド「ORIÉ(オリエ)」

土佐和紙の製造会社にも見学にも足を運んで、土佐和紙の危機的な現状を知ったまおさん。自身が作る折り紙アクセサリーの紙を、この国産のものでできた土佐和紙を使って行うことを決意。まおさんの新たな挑戦が始まりました。

高校生クリエイターとして歩む“起業”への第一歩

土佐和紙との運命の出会いを果たしたまおさんは、折り紙と土佐和紙を掛け合わせた新しい折り紙アクセサリーの形を追い求めて、日々試行錯誤を続けてきました。

土佐和紙

土佐和紙の原材料はいくつか種類がありますが、まおさんはその中でもミツマタを選択。国産のミツマタを100%使用したキメの細かい土佐和紙は、繊細な折り紙アクセサリーと相性が良く、軽くて透け感のある仕上がりになるそう。

折り紙アクセサリーブランド「ORIÉ(オリエ)」のピアス

コーティングを施しても折り紙特有の立体的な折り目がしっかり残り、伝統的な「折り」の美しさが際立つのもポイントです。さらに、金属部分にはアレルギー対応素材を使用するなど、幅広い人たちに安心して身につけてもらえるよう、細部にまで配慮が行き届いています。

提供:折り紙アクセサリーブランド「ORIÉ(オリエ)」

こうした作品づくりへの真摯な姿勢と、和紙の可能性を追求する姿勢は、多くの人の目に留まり、まおさんは高校2年生のときに様々な賞を受賞することになります。

【受賞歴】
 自由すぎる研究EXPO2024
   金賞「緑の下の街づくり賞」
 第12回高校生ビジネスプラン・グランプリ
   高校生ビジネスプラン・ベスト100に選出(※『AERA』2025年3月17日増大号に掲載)
 第39回高知県地場産業大賞
   次世代賞 受賞

折り紙アクセサリーブランド「ORIÉ(オリエ)」のキーホルダー

「もっと土佐和紙を多くの人に知ってもらいたい。」
そんな想いが、まおさんの中で次第に大きくなっていきました。そして進路を真剣に考える時期を迎えたとき、まおさんは“起業”という新たな挑戦へと歩みを進める決意をしたのです。

家族の支えとともに──“好き”を仕事にするための選択

“起業”というと、大きなビジネスを想像されるかもしれません。それに高校生が大学に進学せずに起業するというと、親としては驚いたり、心配のあまり、つい反対してしまうこともあると思います。

提供:折り紙アクセサリーブランド「ORIÉ(オリエ)」

しかし、まおさんをそばで見守り支えてきたお母さんは、まおさんの起業に驚きも、反対しなかったそう。「ここまで話が大きくなると思っていなかったけど、好きなようにやってくれたらと思う。たくさん勉強もしないといけないと思うけど、ぼちぼち失敗しながら進んでくれたら。」と、まおさんのお母さんは語ってくれました。

長い人生において、心から好きなことに出会えるというのはとても稀なことです。お母さんは、まおさんが折り紙という”好きなこと”に出会えたのがとても嬉しそうでした。

提供:折り紙アクセサリーブランド「ORIÉ(オリエ)」

「土佐和紙をもっとたくさんの人に知ってほしい」。そんな思いと一緒にまおさんは、「自分の“好き”を続けたい」「自分が作ったものを、誰かに喜んでもらえたら嬉しい」という気持ちも持っています。自分の「好き」を大切にしながら、それを形にしたい。まおさんの起業は、決して大それたものではなく、等身大の素直な気持ちから始まっています。

家族と支え合いながら、踏み出した一歩。その先には、クラウドファンディングという新たな挑戦がありました。

未来への第一歩──クラウドファンディングで挑む新たなステージ

たくさんの人に土佐和紙の魅力を伝えたい。そう決意して起業を決めたまおさんは、折り紙アクセサリーブランド「ORIÉ(オリエ)」を立ち上げ、クラウドファンディングへの挑戦を始めました。これまで個人で製作・販売してきた土佐和紙を使った折り紙アクセサリーの活動を、より多くの人に知ってもらうため、そして活動の幅を広げていくための新たなステップとして、プロジェクトを立ち上げています。

土佐和紙で折り紙をしている手

クラウドファンディングでは、活動の趣旨や思い、土佐和紙の現状、そしてまおさんが作るアクセサリーの魅力を丁寧に発信。支援者に向けては、まおさん自身が心を込めて作った土佐和紙の折り紙アクセサリーや、活動レポートなどがリターンとして用意されています。

目指すのは、単なる資金集めではありません。まおさんが思い描いているのは、活動を通して一人でも多くの人に土佐和紙のことを知ってもらい、和紙に触れるきっかけをつくること。そして土佐和紙の魅力を県外、さらには海外へと発信していくことです。

このクラウドファンディングは、まおさんにとって、未来への第一歩なのです。

折り紙アクセで伝統と未来を繋ぐ」高校生が本気で起業に挑む理由(READYFOR:2025年8月25日 23:00まで)

土佐和紙の未来を、若い世代の手でつなぐ

現在、全国的に伝統工芸の後継者不足が叫ばれています。土佐和紙もまた、例外ではありません。そんななかで、まおさんのような若い世代が土佐和紙に魅了され、ものづくりを通じて価値を広めようとする姿は、とても希望にあふれています。

まおさんのこのステキな活動、これからも応援していきたいですね。興味がある方はクラウドファンディングをチェックしてみてください!

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